キョンの直腸脱

昨日は面白い症例があった。
近所の公園で飼育されているキョンの肛門が出ているというのだ。

そもそもキョン、という動物をよく知らない。サイズすら分からない。
どうやら鹿の仲間らしい。見たところ体重は10kgないくらい?

脱肛といえば、何かのネットの記事で読んだけど、砂糖をまぶすと浸透圧の関係で、脱出した部分が縮むので元に戻しやすくなるとか。

キョンは完全な野生動物なのでその扱いには注意が必要。
捕獲してすぐにセラクタール打つとショックで死ぬこともあるらしい。
なので鎮静が必要な時は、捕獲してケージに一晩おいて翌日に打つ。

今回はとりあえず捕まえてやれることやることにした。

ケージ内の小さなスペースにすでに隔離されていたので、網で捕まえるのは容易だった。
しかも左前肢怪我をしてるのか、骨折なのか挙上していて早く動けないようだ。

暴れる体を押さえつけて、T獣医師が肛門をチェック。便はやはり下痢便。
指で肛門を押し込もうとするがなかなか入らない。
感染予防のためにバイトリル0.5ml筋注。
本当はバイトリルワンショットが良かったけど手元にないので。

左足は触診したけど骨折はなさそう・・・?怪我もない。てことはどこか小さな種子骨の破砕とか、他の骨のヒビとかなのかな??
野生動物のため、キャストは巻けないのでカンメルパスタ塗布。

キョンはなかなか鋭い犬歯を持っていて、頭を押さえていて少し怖かった。
破傷風の予防注射、いつ打ったっけ。。。6年前だ。
狂犬病も摂取してないしな・・・・。噛まれたらやばい。

こういう時は革手袋&バスタオル必須。野良猫を扱うときと同じだ。

下痢便の糞便検査では寄生虫は出なかったらしい。

結局原因はわからず、しばらく様子を見ることになった。

家畜やペットと違い、野生動物は何処まで治療するのかその線引きが難しい。治療されることがストレスになって死んでしまうこともあるから。

 

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